幻のブランド「Ornetts」

Ornettsとは

皆さんは「Ornetts」というブランドをご存知でしょうか?

1999年頃誕生し、2004頃に生産終了した短命なブランドなのですが、生産終了してからすでに10年以上経つ今も、中古市場で根強い人気のある、知る人ぞ知るブランドです。

この「Ornetts」を作っていたのは、過去にはValley ArtsやMUSICMANの日本製、AXIS EXやStingRay EXなどを作っていた[HI-END GUITARS」で、その後親会社である弊社、神田商会と合併してZEMAITISのTONY’S COLLECTIONやCUSTOM SHOP シリーズを作ることになります。

これだけ聞くとOrnettsのことを知らない方は、Ornettsはとても高価なギターなのでは?と思われたと思います。
ブランドがスタートした1999年頃はそれほどでもないですが、2002年にリリースされたGM5シリーズからは、10万円前後という価格設定ながら非常に高いクオリティを誇るギターを生産していました。

 

初期ラインナップ

スタート当初のOrnettsのラインナップは、トラディショナルなスタイルながら、随所にリファインを施し、高い演奏性を伴ったギターを作るというコンセプトのもと生産されていました。

GR20R

Ornettsのラインナップの中でも唯一のフルアコースティックジャズギターであるGR20R。
随所にこだわりが感じられるモデルです。
塗装はニトロセルロースラッカー100%使用のピュアラッカー。
当時の定価で45万円。

GM10R

こちらはセミアコースティックモデルのGM10R。
トラ杢のトップ板やヘッドのインレイが豪華なイメージ。
塗装はウレタン塗装のグロス仕上げ。
定価22万円。

GM6R / GM6RT(中央)
GM7R / GM7RT(右)

ソリッドボディのGM6R / GM6RTとセミホローボディのGM7R / GM7RT。
こちらもトラ杢のトップ板やインレイなど高級感のあるギターです。
塗装はGM10Rと同じくウレタン塗装のグロス仕上げ。
定価はどちらも16万5千円。

 

ラインナップの一新

上記の初期Ornettsはカタログの作りから見ても分かるように、こだわりを詰め込んだ高級感漂うギターという感じがします。
ただ、それだけに雰囲気的にも値段的にも、おいそれとは手が出せないイメージがあります。

その後、様々な点を見直し改良を加えつつも、価格を抑えるための工夫を凝らして2002年にラインナップを一新します。


こちらが2002年に発行されたカタログです。

写真左の青いギターが初期モデルのGM6Rの後継モデルとも言えるGM6Aです。
そしてこのラインナップで初投入のレスポールタイプのギター、中央がGM5R、右がGM5Sです。

初期のモデルから何が変わったかと言うと、まずは塗装です。
以前はピュアラッカーやウレタンのグロス仕上げでしたが、このラインナップでは全てのモデルにラッカーを使用しながらもグロスに仕上げているのはボディトップだけ。
ボディバックやネックは吹きっぱなしのサテン仕様で、導管も埋めずに非常に薄く吹き、材の質感を感じられる塗装になりました。
グロスに仕上げる手間を省いてコストパフォーマンスは実現しながらも、独特の質感を持つラッカー塗装という、Ornettsを特徴の1つとなる塗装となりました。

ヘッドのロゴもインレイを埋め込んだりという手間を省き、メタル製のバッジを塗装後に取り付けることで作業を簡略化しつつもモダンな雰囲気とオリジナリティを獲得しています。

次に、GM6AGM5Rのボディトップはトラ杢ですが、これは実は非常に薄いトラ杢の突板を素杢のメイプルに圧着したものを使用しています。
それにより高級感は残しつつも大きなコストパフォーマンスを実現しています。

ネックの構造についても大きな特徴があります。
まず、GIBSONのレスポールではトラスロッドをヘッド側で調整するため、角度のついたヘッドの付け根の肉厚が薄くなり、ヘッドの付け根でネック折れを起こしやすいという問題点があります。
そこでMUSICMANの生産でヒントを得た、ボディ側でトラスロッド調整を行う手法を導入することによってネック折れのリスクを回避し、さらに最終フレットまでトラスロッドが入ることによって「元起き」をも回避できる構造を取り入れています。
これもただMUSICMANの模倣ではなく、最終フレットの下側の指板を削ってそこにアジャストホイールを埋め込むという独自の方法を取りました。

ネックジョイントにも特徴があり、BIG BLOCK JOINTと名付けられた、ネック側のブロックサイズを大きく取った非常に接着面の大きいジョイント方法を使用しています。
また、その加工にはコンピューター制御のCNCルーターで非常に精度の高い加工がされており、それにより接着強度や剛性が従来のセットネックギターよりも格段にアップしています。

その他、ペグやブリッジなどのハードウェアはGOTOH製を使用しつつ、ピックアップやポット、トグルスイッチなどは日本製の比較的安価なものを使用しました。

こういった改良と徹底したコストパフォーマンスの追求により、GM6AGM5Rが定価12万円、GM5Sは定価9万8千円という、商品のクオリティからは考えられないほどの低価格を実現します。

その後、新しいボディシェイプのGM8シリーズを追加、GM6Aもマイナーチェンジを加えGM6.1へと進化していきます。
GM8シリーズは先細ヘッドにロック式ペグを採用し、WILKINSONのブリッジを使用したトレモロモデルのGM8Tと、アルミ削り出しのオリジナルのブリッジとテールピースを搭載したGM8Rがラインナップされました。
その後,GM8TにP90を3台搭載した3シングルモデルのGM8T-3S、そしてGM8RにP90を2台搭載のGM8R-2Sも追加されます。

GM6.1はボディシェイプはGM6Aのまま、ヘッド周りやブリッジはGM8シリーズの仕様を採用し、GM6.1TGM6.1Rへと進化しました。

 

こうして、生産本数は少ないながらも着実にファンを増やしつつ生産をしていたOrnettsですが、様々な事情により短命のまま自然消滅的に生産を終了します。
しかし後にOrnettsのスタイルはGRECOのEGシリーズ、EWシリーズに継承されることとなります。
そのEGシリーズ、EWシリーズもすでに生産が完了してしまっているのですが、生産本数はOrnettsよりも格段に多いので、このブログを読んで気になった方は中古市場で探してみれば比較的簡単に見つけることができるかもしれません。
EGシリーズ、EWシリーズについてはGRECOの生産終了品ページにスペックなど掲載されているので、興味を持たれた方は覗いてみて下さい。
http://greco.jp/discontinued/

 

 

 

 

 

2 comments
  1. Syukoh
    Syukoh
    2019年9月6日 at 3:31 PM

    かっこいい!オーネッツさんもすごいですね!!grecoもすごいですが!!(笑)

    Reply
    • DICE
      DICE • Post Author •
      2019年9月9日 at 12:47 PM

      いつもコメントありがとうございます!

      Reply
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